インドへ入国する前のパキスタンでのことある。カラチの街を散策していると喜捨を求める
赤ん坊を抱いた女性に1ルピー紙幣(日本円で15円くらい 当時)を差し出すとひった
くるようにして持っていかれた。喜捨するのは初めての体験ではあったが気分は悪かった。
その後、インド、ネパールに入国したのだが一切の喜捨はせず拒否し続けて、帰国のため
パキスタンへ再入国した。インド国境近くのラホールから首都イスラマバードへの長距離
バスに乗るためターミナルへ、出発までの時間をつぶしているとオートリクシャから降りて
来た見るからに金持ち風の紳士に、赤ん坊を抱いた女性が手を差し出した。
その様子をうかがっていると紳士は財布から紙幣を取り出した。それも1ルピーなんかじゃ
ない、50ルピー札だ!女性はひたくるようにして回れ右をし小走りで走り去る。
その顔は喜びであふれている。一方の紳士は何事もなかったように平然としている。
喜捨という宗教的な意味はさておき、これを見て喜捨はもうしないと決めていた自分だった
けれど、その理由がわかり何か晴れ晴れした気分になった。理由とは喜捨をした相手から
「感謝」といった代償を求めていたようで、それが得られなかったから気分を害していた
ことに気がついた。
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パキスタンのカラチへ入国し、一路アフガニスタンの国境に近いペシャワールへ向かう。
カラチからはギンギンに飾り付けたペシャワール行きのバスに乗る。
その前にカラチのホテルで知り合ったパキスタン人にこのことを話すと、危険だからやめた
ほうがいい、ましてやバスなんてもってのほかとの忠告。会話できるほど英語ができるわけ
ではなかったが通じていた。しかしバスが一番安くて行けるだろうと思い込んでいたので
結局バスにしたのだった。ホテルから白タクのタクシーでバス乗り場へ。
実際に乗ったバスはトラックを改造したようなバスで、座席は木製、ショックも硬くて
すこぶる乗り心地は悪い。しかも満席で身動き取れずどうなることやら、後悔先に立たず
といったところ。乗客は外国人は自分だけ、言葉(英語)は通じなかった。
走行中、お腹の具合が悪くなり爆発しそうになったので叫ぶがすぐには理解してもらえず
冷や汗をかいたことも。間一髪、バスの中でおもらししなくてすんだ。
ペシャワールまでの食事全てはドライバーにご馳走してもらったり、トイレには手を引いて
もらってトイレのあるところまで連れてもらったりと親切にしてもらう。
途中検問でチェックされ(外国人の自分だけ)つつ、カラチを出て約40時間後の早朝、
バスから降ろされる。まだ夜も明けぬ暗い中不安になるが、やって来たオートリクシャに
とりあえず乗る。宿泊先はすでに決めていたので行き先を告げるが通じているのかどうか
これもあやしかった。また暗い中、降ろされた。
明るくならないと右も左も分からないので、夜が明けてからホテルを探すことにした。
意外とそのホテルはすぐに見つけることができホッとする。
決めていたホテルとは当然安宿で、入り口は路地にあり小さな看板しかなかった。
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たどり着いたカイバルホテルの扉から階段を昇って行くと、トイレ(共同)に起きた日本人に
バッタリ出合う。事務所はまだ開いてないので彼の部屋に案内される。
部屋には別の日本人二人がいた。ちなみにこの二人はロンドンから、最初に会った彼は
インドからであった。ここはバックパッカー御用達の宿のようで、白人のバックパッカー
も多くいた。
中には日本にも行っていた白人青年も、そして毎日のように彼らはこの日本人のいる
部屋に集まりパーテイが始まる。
行ってみたい所にダラという町があったのだが、途中の検問で外国人は追い返されるとの
情報がもたらされダラ行きはあっさりと諦める。イギリスのチャーチルも徘徊したらしいダラの
町は銃器の製造を生業としている町で、パキスタン政府の影響が及ばないところだった。
代わりにアフガニスタンへと続くカイバル峠の泥棒町と呼ばれている所へ一人バスで行く。
肩に銃をぶら下げている人は何人もいる。時折銃声も聞こえるが、泥棒町という先入観が
あるせいか緊張する。オヤジに声を掛けられ、ガイドしてくれるのかと思いつつ後について
行くとオヤジは暗くて何もない部屋のある前で売人になった。
売り物はハッシシ(大麻樹脂)。
しつこいセールスだったが、百円ライターをギフトに解放される。あの暗い部屋は誰も
いなかったがトリップするための部屋に違いない。
カイバルホテルの近くを散策していると子供たちに声を掛けられる。
「How are you ?」にすぐに答えず黙っていると「Fine thank you」と先にこされてしまう。
身奇麗でちゃんと学校に行っているお坊ちゃんお嬢ちゃん達らしい。
この子らとしばらく戯れる。
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カラチ バスターミナル
イスラマバード 水を運ぶ少女
ペシャワール オールドシティ
ペシャワール How are you?
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